三男とアルフォート
我が家の三男坊はもうすぐ2歳になるイヤイヤ期ちょっと入りたてのワガママボーイだ。
彼は“新しいものをちょっとだけかじって誰かに譲る”という独特の感性を持っている。
そう、アルフォートだってね。
私は冷蔵庫にアルフォートのファミリーパックを忍ばせているのだが、それがひょんなことから三男に見つかってしまった。
三男は手を必死に伸ばし「ちょうだい」アピールをしてくる。そんな健気な三男を私は無碍に扱うことができない。
そんなわけで、ファミリーパックから一つ、アルフォートを取り出して与える。
目を輝かせた三男はその小さな口でカリッとアルフォートをかじる。かじったアルフォートを満足げな表情で見つめながら、胸をトントンと叩く。これは彼の“おいしい”のサインだ。
ここまでは順調。問題はこの次だ。
彼はその満足げな表情のまま、かじったアルフォートを私に「どーじょ」と渡してくるのだ。
必殺食べかけ渡し、である。悪意はない。
一度かじったものはもういらないのだ。
私は仕方なく彼から食べかけのアルフォートをいただく。もったいないからだ。
そこから三男はまた冷蔵庫を指さし、アルフォートを出せと要求してくる。ここからはもうさっきの繰り返しだ。
彼は新品だけが欲しいのだ。
食べかけをもらうフリをしてまた返そうとすると、首をそっぽに向け断固拒否といった態度に出る。私は頭を抱えている。
アルフォートに限った話ではない。
あらゆるお菓子(ポテトチップスでさえも)、唐揚げなどのおかずでさえもそうなのだ。
唯一、チキンカツを除いて。
その都度「最後まで食べよう」と声かけをしてはいるが、私としては正直食べても食べなくてもどっちでも良いと思っている。
三男の人生は三男のものだ。彼が生きたいように生きてくれたら母は嬉しい。